砂糖は水によく溶け、水を抱え込み離さない性質があります。
水と砂糖はとっても仲良し。これが砂糖の働きの基本です。
1保水作用
パンがパサパサになるのを防ぎます
砂糖を多く使ったパウンドケーキは時間が経っても、しっとりしていますよね。これは砂糖がケーキの水分を保って乾燥を防ぐからです。
またサツマイモできんとんを作るときに、砂糖と一緒に煮ると、しっとりした状態が続くので、裏ごしが楽にできます。
保水性は砂糖の長所ですが、裏を返せば吸湿性という短所にもなります。砂糖は湿気にさらされると吸湿してすぐにベタベタになってしまいますので、保存の際にはなるべく密閉が出来る専用容器での保存をおすすめいたします。
2泡立ちを保つ!
味付けだけではありません。砂糖の力でもっとフワッとなります。
お菓子作りをしたことがある方ならば御存じかと思いますが、生クリームやメレンゲ(卵白を泡立てたもの)を泡立てる時に、たいてい砂糖を加えます。
この時に入れる砂糖には、甘味を付ける以外にも重要な役割があるのです。
それは泡を消さないことです!
砂糖の保水作用により、泡の中の水分を砂糖が抱え込んで、泡が消え難くなるのです。
ケーキ全体の砂糖の量を減らすのはお好みですが、ふんわり弾力のある美味しいスポンジケーキを作るには、砂糖を使った丈夫なメレンゲを作ることが秘訣のようです。
3防腐作用がある
砂糖は、腐りません。
羊羹やジャムを日持ちさせるためには沢山の砂糖を使うと良いとされています。これは何故なのでしょうか?
食品が腐ったときには、カビや細菌などの微生物が大繁殖していて、臭いや色が変化します。微生物が繁殖するためには水分が絶対必要になります。
砂糖は、微生物が繁殖するために必要な水分さえも奪ってしまうのです。 砂糖漬けの果物や羊羹が防腐剤を使わなくても日持ちするのは、沢山の砂糖が使われているからなのです。
防腐作用がある砂糖。でも過信は禁物です。
いくら砂糖に防腐作用があるとは言え、少しでも入っていれば腐らないということでは有りません。微生物が必要とする水分を奪うためには、一定量以上の砂糖が必要です。例えば同じ羊羹でも水羊羹はその名のとおり水分たっぷりですから、開封後はお早めに召し上がってくださいね。
4タンパク質凝固を抑制
お肉は柔らかく、卵焼きはフワッとさせます。
砂糖は加熱調理の際にお肉や卵が固くなるのを防ぐ働きがあります。これは、砂糖がたんぱく質と水を結びつける役割をするからです。
卵焼きを作るとき、砂糖を入れることによりフワッとした卵焼きになります。また、あらかじめ砂糖の入ったタレにお肉を漬込むと、柔らかくおいしい焼肉になります。
濃い目に味をつけた焼肉は、ご飯も進み、砂糖のやわらか効果でお弁当にぴったりですよ!
5ゼリー化させる
砂糖の力でジャムやマーマレードがプルプルに。
ジャムやマーマレードは酸味のある果物に砂糖を入れて煮詰めて作ります。ゼリーを作る時に使われるゼラチンや寒天を入れないのに、なぜ固まるのか不思議ですよね。これにはペクチンという多糖類が関係しています。ペクチンとは、水に溶けるタイプの代表的な植物繊維で、あらゆる植物に含まれています。
このペクチンに酸が加わると、ペクチンが水に溶け難くなり、更に砂糖がペクチンの周りの水を抱え込みます。するとペクチンが網の目の様につながって、ゼリー状になるのです。
ペクチンが少ない果物(例えば桃など)でジャムを作るときは、ペクチンの多いリンゴやレモンと一緒に煮ることや、他の植物からとったペクチンを加えると美味しいジャムが出来ます。
6でんぷんの老化を防止する
和菓子のお餅が冷めても柔らかいのは……
でんぷんの老化とは、お餅が固くなったり、冷めたご飯がボソボソの食感になったりする現象のことで、加熱して解れたデンプンの成分同士が、再び絡みつくことで起こります。
加熱したデンプンの多い食品に砂糖を入れてよく混ぜると、砂糖が水分を引き寄せ、また引き寄せた水分を離さないので、デンプンの成分が再び絡みつくことを防ぐことが出来ます。
つきたてのお餅は、冷めるとすぐに固くなってしまうけれど、大福や求肥(ぎゅうひ)のお餅はいつまでも柔らかい理由はこのためなのですね。