お砂糖は二酸化炭素と水を原料に、
太陽の光によって作られる天然甘味料です。
皆さんは野菜や果物を食べたときに「甘い」と感じられると思います。この「甘さ」は野菜や果物に含まれている、主にショ糖などの糖分を味わっています。
糖は植物が自らの栄養源として、光合成によって作られます。
お砂糖は、植物の中でも特にショ糖を作る能力に優れた、「サトウキビ」や「サトウダイコン」などを原料にして作られます。「サトウキビ」はインド原産のイネ科の多年草で、温暖なブラジルやタイ、オーストラリアで栽培されています。
日本では沖縄や鹿児島など温かい地域で作られています。
一方「サトウダイコン」は地中海沿岸が原産のアカザ科の2年生植物で、ホウレンソウの仲間になります。
サトウキビと異なり寒冷地でも育つことから、ヨーロッパを中心として栽培されており、日本では北海道で主に生産されています。
その他にもタイで生産されているパームシュガーは「サトウヤシ」から作られています。カナダでは「サトウカエデ」からメイプルシュガーが作られており、国旗や金貨にもサトウカエデの葉がデザインに使われるほど盛んです。
このように世界各地では様々な植物から砂糖が作られていますが、ここでは代表的な砂糖の原料である、「サトウキビ」からいろいろな砂糖が出来るまでを御紹介します。
1原料糖
サトウキビを畑から収穫し、押しつぶしてジュースを絞ります。
そのジュースから不純物を取り除いて、煮詰めると砂糖の結晶が出来ます。
結晶を遠心分離して集めたもの、これが原料糖(粗糖)です。原料糖には、細かなサトウキビのしぼりかす等、不純物が多く含まれていて、原料糖のまま食品として使用するには不向きです。そのため原料糖をもう一度溶かし、不純物を取り除いて、白砂糖や黒砂糖など各種砂糖に加工します。
なぜ原料糖に加工するのですか?
刈り取られたサトウキビは、また芽を出そうとして、時間とともにショ糖をどんどん消費してしまいます。
またサトウキビに含まれているショ糖分は十数%程ですから、サトウキビのままでは長時間の大量輸送には適しません。そこでサトウキビの産地の近い場所で、ある程度純粋なショ糖の結晶の形に加工することで、ショ糖が安定した物質となります。この状態が原料糖になります。
原料糖は輸送や貯蔵に適していて、一年を通して品質の安定した砂糖を供給するために、欠かせないものになっています。
2精製糖
純粋なショ糖であること。それが精製糖の白さのあかしです。
精製糖を作るには、まず原料糖を溶かし、活性炭やろ過を繰り返すことによって徹底的に不純物を取り除いて、無色透明な糖液をつくります。この糖液を煮詰めると砂糖の結晶が出てきます。
出来た結晶を遠心分離機にかけて、蜜と結晶とを分離させます。取り出した結晶を乾燥させると精製糖(グラニュー糖や白ザラ糖)の出来あがりです。
三温糖や中ザラ糖も精製糖の仲間なのに、なぜ色が付いているの?
結晶と分離した蜜には、まだショ糖分がたくさん残されています。この蜜をまた煮詰めて結晶を取り出す工程を何度か繰り返しています。
最初に取り出した結晶は純度の高い真っ白な「白砂糖」(本グラや白ザラ糖)となります。糖液を煮詰めるときには加熱をしていますが、糖液を加熱するとカラメル化反応が起こり、糖液にカラメル色素が含まれてゆきます。このカラメルが三温糖や中ザラ糖の色となるのです。
余談ですが、三温糖は三回(以上)温める(加熱する)ことで作られるので、三温糖と呼ばれるようになりました。
3含蜜糖
含蜜糖は蜜分が含まれている為、精製糖とは異なる特徴があります。
含蜜糖の主な製造法は原料糖を溶かし、ろ過した後、糖液に蜜を加え煮詰めていきます。
精製糖の製造法と大きく異なるところは、ショ糖の結晶を分離しない点です。含蜜糖では、煮詰めた糖液を冷やしつつかき混ぜて水分を飛ばしてゆきます。すると蜜分はショ糖の結晶と一緒となり、そのまま乾かして粉状にします。
含蜜糖の独特の特徴ってなんですか?
サトウキビに含まれていたミネラル分や風味(コク)は、精製糖では蜜分に振り分けられてしまいます。
含蜜糖では分離をせずに、そのまま煮詰めて作るため、サトウキビ本来のミネラル分や風味が生きたお砂糖になります。